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成果報酬型の場合、どのように成約を把握しているのでしょうか?

最近は固定広告費よりも、成約に対して費用を徴収するというモデルが多いと聞きますが、どのように成約を把握しているのでしょうか?

扱う分野によって成約把握手段が異なる

弊社で構築させていただいたポータルサイトの割合だと、期間固定型課金が20%、残りの80%は成果報酬型課金となっており、数年前に比べると、成果報酬型課金の割合が急激に増えています。

成果報酬課金モデルは、「そのサイトを経由した成約が確認できた時点で初めて課金」できるというモデルで、広告を掲載する企業にとっては、初期費用や固定費用が発生しないため、掲載獲得のための営業のハードルが低く、それにより多くのサイトがこの課金モデルと取り入る傾向にあります。

そこで多くのお客様から聞かれるのが、「どのように成約を把握するの?」という事です。

成約を確認して初めて課金できるという、この成果報酬型課金を導入する際に、必ず議題に上がる話題です。

単純に成果報酬型といっても、扱う分野によって把握の手段、徴収の手段は異なります。

当ページでは、成約の把握の手段は、扱う分野、またその分野が扱う金額によって大きく異なる、という事を解説していきます。

扱う金額が小さい場合は成果報酬にはむかない

そのポータルサイトで扱う金額が小さい場合を想定してみましょう。扱う金額、つまり発注者から受注者に対して支払われる金額が小さく、それに比例して運営者としてもそこから徴収できる手数料も小さい、という場合です。

では、ピアノ教室を検索できるポータルサイト、と想定してみましょう。ピアノ教室の平均月謝は、個人、企業と形態はありますが平均化すると約7000円となります。

発注者(ピアノを習いたい人)から、受注者(ピアノ教室)に支払われる金額は、月謝7000円として、年間で84000円となります。

この84000円から手数料として徴収できるのは、どれほどなのでしょうか?

スクールという性質上、習いたい人が1年経過しないうちにやめてしまうかもしれませんし、逆にその後何年も通ってくれるかもしれません。

継続性という可能性も秘めているため、単発で終わってしまうような分野に比べて、支払われる金額から徴収できる手数料の割合は増すことが出来るでしょう。

ただそれでも、弊社が過去に構築した習い事関連のポータルサイトの場合、それらは、月謝×1か月~3か月ほどの手数料徴収にとどまっています。

このピアノ教室の例だと、7000円~21000円ほどとなります。

この7000円~21000円を徴収するために、運営者としてどこまで、成約を把握するために動くことが出来るでしょうか?

サイトとしての動きは、

①エンドユーザがピアノ教室を検索

②エンドユーザがピアノ教室にフォームから問い合わせ
※フォームから問い合わせないと、運営者が問い合わせが発生していることを把握できない

③サイト外でエンドユーザとピアノ教室のやりとり

④成約

となりますが、エンドユーザは実際にそのピアノ教室の先生がどんな人なのか会ってみたいだろうし、体験教室があるのであればそれにも行ってみたいはずです。

つまり、サイト外のところでエンドユーザとピアノ教室のやりとりが必ず発生します。

一度オフライン(サイト外)でのやり取りは始まってしまうと、両者ともそのやり取りに関しては、サイトにとどまる必要性が無いため、サイトという存在意識が薄らいでしまいます。

そうなると、両者に対して成約通知が出来る機能があったとしても、メリット(お祝い金等)が無ければわざわざその成約通知をしてもらえず、成約の把握が出来ない、ということになってしまいます。

運営者から能動的に、両者に電話をかけ、成約の有無を確認も出来ますが、7000円~21000円の手数料を徴収するにあたり、そこまで事務局が動いていたら、人件費で利益が相殺されてしまいます。

扱う金額が小さく、一度オフライン(サイト外)でのやり取りが発生してしまうサイトの場合、成果報酬型では、限界があるのです。

車の一括売却査定や、引越し一括見積もりサイトの多くは、上記の理由で成約の把握が難しいため、エンドユーザから見積もりが行われ、企業がその見積もりを受け取った、または開封した時点で課金をしているケースが多いです。

引越しも、車の一括査定も、やはりオフラインでのやりとりが必須であります。一つ一つの見積もり依頼に対して、成約を把握するのは困難ということの裏づけでもあるのです。

ピアノ教室の場合、ピアノ教室に対して、月額5000~8000円ほどの月額掲載料という形で手数料をもらうモデルが適していると言えます。その理由は、1年通して掲載をしていても、掲載費用は12か月×5000円=60000円で、極論この1年間の掲載にて1人の成約を獲得でき、その生徒が12か月継続して習いに来てくれれば、1年分の広告掲載費用はペイできてしまいます。

営業時にも、「掲載費用は年間6万円です。1年という掲載期間内で一人でも生徒を獲得でき、その生徒が1年通ってくれればその1年分の広告費はまかなえます。というアプローチが出来ます。

まとめますと、

扱う金額が小さい × 継続性が低い(引っ越し一括見積タイプ) ⇒ 見積発生時にて課金が望ましい
扱う金額が小さい × 継続性が高い(塾など) ⇒ 月毎固定課金か見積発生時課金の選択肢がある

という事になります。

扱う金額が大きい場合は手数料形態の選択肢が増える

受発注者間でやり取りされる金額が大きい場合、そこから徴収できる手数料も大きくなってきます。ただ、必ずしも手数料を取引金額に比例させ高額にする必要はありません。

例えば、受発注者間でやりとりされる金額が数千万にもなる、注文住宅の資料請求サイトを想定してみましょう。

考えられる手数料形態として、月毎固定課金、資料請求時課金、見学時課金、成約時課金などが考えられます。この時点で扱う金額の小さいパターンと比べて、はるかに選択肢があることが分かります。

月額固定課金は、反響があるかどうかもわからないサイトへの登録へ誘導することから、営業のハードルは高いと言えます。一度掲載してもらえれば、反響ごとに運営者がアクションを起こす必要が無いため、運用の複雑さは低いです。

資料請求時課金は、資料が請求されたタイミングで課金が発生するしますので、半成果報酬といえます。反響という成果に対して手数料を徴収するモデルとなりますので、固定課金よりは営業のハードルが低くなります。ただ、資料請求にも様々な確度があり、例え利用規約ですべて課金対象になると明記しながらも、あまりにも冷やかし的な資料請求の課金は取り消したりなどの運用は必要となります。運用はそこまで複雑ではありませんが、資料請求の質の管理、またそれに伴うか金額の調整など、メンテナンスが出来る機能、体制が必須です。

見学時課金は、資料請求後、実際にエンドユーザーが見学に足を運んだ時点で課金をするモデルになります。そのエンドユーザが見学に行った、行かないというところまで把握するのは簡単ではなく、住宅メーカーの協力無しでは為しえない課金モデルとなります。住宅メーカーにマイページを渡して、資料見学者の一覧を見れるようにしてあげて、見学に来た人の電話番号などで見学者が来たことを照合させるなどの作業は必要です。運用の複雑さは、一番高いかもしれません。

成約時課金は、成約があって初めて手数料を徴収できるモデルなので、成約を把握するための運用体制が必要になります。企業側より成約を通知してもらうだけでは弱いので、エンドユーザーにもお祝い金等を発行して、成約を通知してもらう必要もあります。それでも完全ではないので、企業側とアナログでの関係性をしっかりと作り、常に電話などで成約状況を確認するなど、一定の緊張感を保ち、不正や、申告漏れを防ぐ手立てを用意しておく必要性も高くなります。反響発生から、成約までの流れを追いかけるという意味では、やるべきことがたくさんあり、運用の複雑さは高いです。ただ成約一件あたりの手数料を大きく徴収できます。

まとめますと、営業のハードルとして、

月毎固定課金 ⇒ 掲載獲得営業のハードルは高い
資料請求時課金 ⇒ 掲載獲得営業のハードルは普通
見学時課金 ⇒ 掲載獲得営業のハードルは普通(見学の把握が難しい)
成約時課金 ⇒ 掲載獲得営業のハードルは低い

となり、運用の複雑さは

【より複雑】 見学時課金 > 成約時課金 > 資料請求時課金 > 月毎固定課金 【複雑ではない】

となります。

扱う業種により、一般的に使われている課金方法も異なります。この業種では固定が一般的、あの業種では成果報酬が一般的という傾向はあるかと思いますので、業種に合わせて、課金モデルを考えてみることをおすすめいたします。

扱う金額が大きく、成果報酬の場合は、どのように成約を把握する?

扱う金額が大きく、成果報酬の場合の制約はあく方法として、一番オーソドックスなのが、エンドユーザーにお祝い金を発行する、という方法です。企業側からも、成約通知を運営者に対して出来るようにはするのですが、企業側からのみの成約申告では漏れが発生します。

担当者が申告するのを忘れているケースもあれば、課金されるのが嫌で、わざと申告をしていないケースもあります。最悪なケースですと、エンドユーザーにお金を支払って、成約をしていないことにする、なんてことも稀ですがあります。

これらを防ぐために、エンドユーザーに「このサイトを通じて成約したら、お祝い金を発行するので、成約したらちゃんと伝えてね」という形でお祝い金を発行するのです。

こうすることで、お祝い金をもらいたいエンドユーザーが成約を伝えてくれるため、成約漏れを極力少なくすることが出来るのです。ただ、それでも「エンドユーザーにお金を支払って、成約をしていないことにする」という事が起こりえるため、運営者は常日頃から、企業側との関係性を深く築いていくことが重要となります。

すべてを自動化しようとして、企業との関係性が浅くなれば、企業側にもそれが伝わり、緊張感が薄まり、それが漏れや不正に繋がります。運営者が動いている、サポートしている、サイトが生きている、というのを雰囲気で企業側に感じてもらうことで、成約漏れや不正は一気に減ります。

また、上記以外の方法としては、完全なアナログ手法もあります。

サイトからの反響後のアクションをすべて、人の手を介して行う、というものです。人の手を介すため、拘束される時間も長く、それ故手数料も大きくなることが想定されます。

転職・人材関連や、不動産、企業紹介(税理士紹介など)などによく見られる手法で、アドバイザーとして仲介に入ることにより、より成約率が上がる分野に向いているといえます。

例えば、税理士紹介の場合、企業Aがある税理士紹介ポータルサイトを介して、特定の税理士にWEB上から問い合わせをするとします。すると該当税理士及び、他適切だと思われる税理士を運営事務局の担当者が会社まで連れてきてくれる。

というものです。WEB上で「この日にセッティングをしたので、税理士A、税理士B、税理士Cにこの場所であってくださいね」としてしまうのではなく、しっかりと運営者が担当者と共に、税理士A、税理士B、税理士Cを連れてきてくれて、さらに同席のもとアドバイスをもらえる、という感じです。

ここまで運営者が介入すると、成約まで把握するのは、運営者として業務の流れの一環となるので、そんなに難しくはありません。ただ、担当が案件ごとに動かなくてはならないため、その人件費を十分にカバーできるだけの手数料は必要となります。

それだけの手数料が支払えるということは、受発注者間でやりとりされる金額もそれなりに比例して大きくなってくる、ということです。

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