検索機能が充実しすぎていると離脱者が増える?
検索部分はポータルサイトの重要な機能です。充実させるのがいけない理由は?
絞り込めるだけのコンテンツ数が存在するのか?
ポータルサイト、マッチングサイト、その他検索サイト系でよくやってしまいがちな事。
それは、運用初期段階から、良かれと思い検索機能を充実させてしまい、それが結果的にユーザの離脱をさせてしまうこと、またそれに気づかずに運用を続けているというとことです。
検索機能が充実していれば、探しているコンテンツをよりピンポイントに絞り込めるため、ユーザにとって良いこと、だと思われるかもしれません。
弊社は年間通して数多くの検索機能がついているサイトを構築しておりますが、そのほとんどのクライアント様が運用初期段階から、検索機能を充実させようとされます。
例えば、美容室の検索サイトであれば、
都道府県、市区、沿線、駅、こだわり・特徴、予約可能時間、クーポンありなし、などどうしても検索部分は充実をさせたくなります。
ただ、ご存知でしょうか?検索系のサイトにて、サイト内にてコンテンツを検索させた際に、0件というページを見せることによって離脱する訪問者は8割以上に上るということを。また、一度離脱した訪問者が再びサイトに戻ってくる可能性は1割以下であるということを。
都道府県で既に47分の1に絞り込まれます。となると、全国に平均的に店舗が配置されていると想定して、その店舗数が100件だとすると、一つの都道府県に2店舗しかヒットしない(100店舗÷47都道府県)こととなります。仮に1000店舗の登録であっても、一つの都道府県に20店舗(1000店舗÷47都道府県)です。その20件から絞込みをかけて、離脱を招く0件ページを見せてしまうことを考えた場合、更に絞り込む必要があるでしょうか?
全国の市区町村が約1700ほどあります。店舗数が100店で、これも一つ一つの市区町村に均等に割り振った場合、残りの1600市区町村は店舗が0店ということになります。こんな単純計算ではありませんが、1700人がサイトに訪問してくれても、店舗が見つけられるのはわずか100人。しかも、見つけられるといっても希望のエリアには1店舗しかヒットせずに比較もできません。それだけでなく、残りの1600人は、希望のエリアに店舗を見つけることができず、サイトを離脱してしまうのです。
もちろん、登録が無いエリアは最初からクリックできなくするなどの対応は可能ですが、登録店舗が少ない場合、ほとんどのエリアがクリックできない、つまり登録店舗が少ないということを、最初からビジュアル的に露呈してしまうことになるので、それはそれで、検索させる前に離脱を招いてしまいます。
検索機能を充実させるということは、検索結果に行くつくまでのパターンが掛け算式で増えていくこととなり、その掛け算式に増えていった検索結果パターンに対して、美容室が存在すればユーザにとっては思い通りの動きとなるのですが、検索結果パターンに対して、美容室が存在しなければ、このサイトには自分の必要としている情報が無い、と判断され、サイトから離れていってしまうのです。
トップページからかけあわせでの詳細検索はNG
検索する対象となるコンテンツが少ない時期は、トップページにて、詳細に絞り込めるような機能を配置すると、多くの離脱を招きます。
例えば、愛知県に特化した求人サイトを作る場合、トップページに配置すべき検索条件は、まずはエリアのマップだけで良いと思います。職種は看護師と既に絞られているため、求職者が気にするのはまずは、通勤できるエリアとなります。
診療科目や、雇用形態を掛け合わせてしまうと、一気に求人数がヒットしなくなるので、掛け合わせても求人数がある程度ヒットしてくるまでは、機能としては作っておいても、その掛け合わせ検索は非表示にしておくべきといえます。
検索機能の充実は、検索対象となるコンテンツが、絞り込まなければ大量に表示されてしまい、目的のコンテンツにたどり着き辛い、というタイミングでも遅くはないのです。
フリーワード検索の落とし穴
フリーワード検索は、何をどのように入力すべきかを明確にしないと、ユーザーは何でもかんでもフリーワード検索に入れ込んできてしまいます。
古いデータになりますが、弊社にて保守を行っている美容室の検索サイトで、エリア(都道府県×市区町村) と フリーワード の2項目の検索条件を持った状態で調査しました。
フリーワード の箇所に何も注記無しの場合、ユーザは本当に様々な形式でサイト内検索をしていることが分かります。
パターンとしては大きく、以下に分類されるのですが、
①サロン名
②都道府県か市区町村
③駅
④ヘアースタイル
サロン名や、エリア、駅はフリーワードの検索対象とすることが可能です。ただ、エリアと駅に関しては、「○○駅周辺」とか、「○○市近郊」などといった、想定しない検索が、そこそこのボリュームであることが確認されました。
サロンの持っている情報には、○○駅周辺、○○市近郊、などといったワードは存在しません。それらに対する施策が無い場合は、検索結果が0件ヒットとなってしまい、やはりユーザが離脱していました。
これに対する対策としては、周辺、近郊などというワードは検索されても、内部で除外して検索結果を表示してあげる、例えば、渋谷駅周辺、と検索した場合は、周辺というワードは除外して、渋谷駅のみで検索をかけるようにする、いわゆる除外キーワード設定ができるようにする、などが考えられます。
上記以外には、フリーワード領域に、最初から例文を入れておくことが考えられます。
[サロン名を入力してください]
とし、その下に、都道府県、エリアは、上部のプルダウンにて検索してください、などといった注記を入れるなどです。注記が無い場合、そもそもフリーワード入力領域のすぐ上に、都道府県と市区を指定できる検索部分がありながらも、フリーワード入力箇所に、なぜかエリアをいれてしまうユーザはかなり多いのです。
ですので、最初から、エリアはエリア選択箇所!フリーワードはサロン名!と明確に、何を入力すべきかを明記してあげるべきなのです。
また、ヘアースタイルをフリーワードで検索をしてくるユーザが結構多く、「渋谷区 セミロング」、「表参道 グラデーション」、「マニッシュ」、「アッシュ」などと検索をしているユーザも多かったです。
これらに対する施策としては、得意なヘアースタイルを、サロンにチェックしてもらうなどの下準備でワードを仕込んでおく必要があります。仕込が無ければ、それらのキーワードに対して、やはり0件ヒットを見せてしまうことになります。
ただ、それでも上で述べたように、エリアにて絞込みがされ、そこに更に絞り込むだけの検索ボリュームがあるかどうかをしっかりと検討して、フリーワードを実装するかを考えるべきです。
フリーワードの入力箇所があれば、ユーザはフリーワードを入れて検索をしてしまいます。それもかなり一方的なワードで。注記を入れていたとしてもです。0件ヒットを乱発して離脱者を増やすぐらいであれば、運用初期の検索は本当にシンプルにしてしまったほうが良いのです。
コメンドで0件ヒットを回避する
運用初期段階では、登録されているコンテンツの数がどうしても少なくなってしまい、検索条件をシンプル化したとしても0件の検索結果を見せてしまうことを完全に回避することが困難なケースもあります。
そのような場合は、レコメンドとして検索条件に近いコンテンツを見せてあげることで離脱の半数を回避することが出来ます。検索結果は0件だけど、似たような条件のコンテンツはこれだけあるよ、という感じです。
例えば、不動産物件の検索の場合、エリア×価格で絞り込んでいる場合、そのエリアには物件はあるが、価格による絞り込みで物件が0件になってしまっている場合は、価格条件を外す、または価格条件幅を大きくした結果を、レコメンドで表示して、離脱を防ぎます。
2000万円~3000万円で物件を検索している場合、その範囲以下であれば当然、その範囲以上の3001万円~3500万円でも良い物件が存在すれば、射程範囲に入ってくる可能性は高く、それらを見せない手はないのです。
ポータルサイトを構築する際に必ず必要になってくるこの検索部分ですが、上記の通り、コンテンツが少ない時期に検索条件を充実させるのはかえってサイトにとってマイナスな結果になる、重要なのはまずはコンテンツが存在するということをしっかりと見せてあげるべきなのであります。